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相続手続きを進めていくためには、亡くなった方や相続人の戸籍が必要ですが、何をどこまで集めればよいのかについて、戸籍を1000通以上読んだ経験のある行政書士が分かりやすく解説します。

相続で必要な戸籍は、相続人によって変わる

そもそも、戸籍が相続でなぜ必要なのでしょうか。

それは、亡くなった方(被相続人)とその相続人の関係性を証明するために必要なのです。
どのような相続のパターンでもこの「相続の関係」を証明する、という目的に沿って戸籍を集めます。

具体的に必要な範囲は、誰が相続人になるかによって変わってきますので、以下に解説していきます。

なお、誰が相続人になるかについては、下の別ページで解説しておりますので、ご覧ください。

法定相続人とは

必ず取得する戸籍:亡くなった方の出生~亡くなるまでのすべての戸籍(謄本)

まず、亡くなった方に配偶者や子の有無を証明するために、生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍が必要になります。
途中、転籍などで戸籍が移動している場合は、その途中の戸籍もすべて必要になります。

なお、戸籍を取得するときに「謄本」「抄本」を選択することができます。
「謄本」とは、その戸籍に載っている全員が書かれたものを言います。
「抄本」とは、戸籍の中の一人だけが書かれたものを言います。

つまり「謄本」を請求すると、亡くなった本人やその配偶者、子が全員載った戸籍が交付されます。
一方、「抄本」を請求すると、亡くなった本人だけが書かれた戸籍が交付されます。
「抄本」では本来の目的である被相続人と相続人の関係を証明することになりませんので、亡くなった方の戸籍はすべて「謄本」を取得しましょう。

「謄本」を取得すれば、配偶者も同じ戸籍に載っていますので、亡くなった本人と配偶者との関係性が証明されたことになります。

第一順位:子が相続人の場合

子(養子や認知された子も含む)が相続人の場合は、子の「現在の」戸籍が必要になります。
これは、亡くなったその日に相続人が生存していたことを証明するために必要になります。

そのため、被相続人が亡くなった日より前に取得した戸籍の場合、亡くなったその日に相続人が生存していたことが証明できないため、注意が必要です。

第二順位:直系尊属が相続人の場合

このときは、被相続人に子がいないことが前提となりますので、父・母などの直系尊属が生存していることを証明するために、父・母の現在戸籍が必要となります。

第三順位:兄弟姉妹が相続人の場合

このときは、これまでと打って変わって必要な戸籍が広がります。

まず、兄弟姉妹が生存していることを証明するために「現在の」戸籍が必要となります。

そのほかに、被相続人と兄弟姉妹の関係性を証明するため「父・母の生まれてから亡くなるまでの戸籍」も必要となります。
父・母それぞれ前婚のときの子がいたり、認知した子がいるなどした場合は兄弟姉妹関係があることになるため、たとえそのような可能性がなかったとしても「ない」ことを証明するために必要となります。

代襲相続が発生している場合

子または兄弟姉妹が法定相続人になる場合、被相続人より先に亡くなった子または兄弟姉妹にさらに子ーつまり孫や甥・姪がいるときは、その孫などが代襲相続人となります。

このとき、代襲相続人と被相続人の関係性を証明するため、先に亡くなった子または兄弟姉妹についても「生まれてから亡くなるまでの戸籍」が必要となります。

よくある質問:戸籍の必要な通数

よくご相談者様から「戸籍は何通取ればいいでしょうか」という質問をいただくことがあります。

当然、どのような使い方をするかによって必要な通数は変わってきますが、基本的には1通ずつ取得していただければ十分です、とお答えしています。

「法定相続情報一覧図」を交付する法務局では、戸籍の原本を提出する必要がありますが、法定相続情報一覧図を交付されるときに原本を返却してもらえます。
また、銀行などの窓口でもほとんど原本は返してもらえますので、基本的には1通でやり繰りできるかと思います。

ただし、手続きや窓口によっては原本が返却されない場合もありますので、事前に確認されるとよいでしょう。

まとめ

相続で必要な戸籍は、誰が相続人になるかによって必要な範囲が変わってきます。
戸籍の取得には時間も費用もかかるため、まずは必要な範囲の戸籍を1通ずつ取得いただくのがよいでしょう。

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