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実は毎年、全国で10万人以上の方が遺言書を書いています。これは公正証書で遺言書を書いている方の人数です。

今回は、遺言書にある色々な書き方について、相続・遺言を専門とする行政書士が解説します。

遺言書とは

遺言書を書く人
遺言書と聞くと、大げさに聞こえる方もおられると思います。そもそも遺言書とはどんなもので何のために書くものかを、簡単にご説明します。

財産の行き先を決める

遺言書を書く目的の一つは、財産の行き先を決める-つまり誰に財産を引き継いでもらいたいのか、その思いを実現するためのものです。
財産を具体的に明記し、誰に継いでもらうかを書きます。

不動産やお金はもちろん、特別に思い入れのある物や先祖代々の品など、色々な物が当てはまります。

他にも、相続人に揉めて欲しくないから先に財産の分け方を指定しておく、という目的もあります。

いずれにしても、遺言書を書く人の「こうしたい」という思いを実現するために書きます。

また、近年は住んでいる自治体や、公益団体への寄附のために遺言書を書く方も増えてきました。

葬儀等の希望を書いておく

他に、葬儀の希望や、遺言書を書いた理由などを書いておくこともできます。
これを「付言」(ふげん)といい、法的な効力はありませんが、遺言者の希望を明確にしておけます。

遺言書の内容を実行する人-遺言執行者を決める

遺言書を書くときに必ず決めた方がよい項目があります。
それは、遺言書の内容を実行する人-「遺言執行者」を決めることです。

遺言執行者は、遺言書の内容に従って相続手続きを進めていく人で、他の相続人の同意等を得なくても手続きを進めていくことができます。

遺言執行者がいると遺言書の内容がスムーズに実現するので、必ず決めたほうがよいでしょう。

遺言書の種類

遺言書をなんとなく想像できても、実際に書くとなると、書き方はよく分からないと思われる方も多いと思います。
遺言書には大きく分けて書き方が3種類あります。
まずはその種類について、簡単にご説明します。

自分で書く遺言書-自筆証書遺言

当たり前ですが、遺言書は自分で書くことができます。
全文を自署し、最後に日付、署名、捺印をすれば法的に有効な遺言書となります。

一般的には、署名に加えて住所や生年月日も書き、本人確認がしやすいようにします。
捺印する印鑑は、印鑑登録している実印がよいでしょう。

なお、遺言書の一部として「財産目録」を付ける場合には、自署に変わってパソコン等で作成した財産目録も認められています。

具体的な詳しい書き方は別ページで解説致します。
なお、自筆証書遺言には、自分で保管しておく方法と、全国にある法務局で保管してもらう方法(自筆証書遺言保管制度)があります。

公証役場で作成する遺言書-公正証書遺言

全国各地に公証役場という国の機関があります。
公証役場には公証人がいて、公正証書という公文書を作成します。
その公正証書で作成する遺言書を公正証書遺言と言います。

公正証書遺言は証明力が強く、本人が書いた遺言書ではないと否定されることはほとんどありません。
また、遺言書の原本は公証役場で預かってもらえるので、紛失したり、誰かに改ざんされることもありません。

遺言書に書きたいことを公証人に伝え、その内容を書いてもらうことで作成されます。
作成には証人2名の立会いが必要ですが、相続人や財産をもらう方は証人になることができません。

また、公正証書を作成するときに公証役場に作成手数料を払う必要があります。
遺言書を預かってもらう間の費用はかかりません。

内容を知られないまま作成する-秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を封筒に封して、証人2名とともに公証役場に提出して自分の遺言書であることを証明してもらう方法です。

自筆で書いたものでなくても認められ、パソコンで作成して印刷したものでも遺言書になります。
先に封をしてから公証人に提出するため、内容を公証人や証人2名に知られることはありません。

ご自分で書けないような場合でも作成できるのがメリットですが、その場合は公正証書遺言もあるため、あまり利用されていないのが現状のようです。
公証役場で保管もしてもらえません。

どうしても内容を秘密にしておきたいときに作成を検討するとよいでしょう。

まとめ

簡単ですが、遺言書を書く目的や、書き方について全体的な解説をしました。
自筆証書遺言や公正証書遺言については、詳しい作成方法を別で解説しますので、ご興味がありましたらそちらもご覧下さい。

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